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世界が認める「オープンダイアローグ」が精神医療を変える!?

世界が認める「オープンダイアローグ」が精神医療を変える!?

1.オープンダイアローグって?

オープンダイアローグ(Open Dialogue)とは、「開かれた対話」を意味します。

ここでいう「対話」は、医者と患者で行う「会話」とは異なる。患者ご本人と家族や友人、精神科医師だけではなく臨床心理士や看護師といった専門職などの関係者が1ヵ所に集まり、チームで平等に「対話」重ねます。

オープンダイアローグは、「対話」を重ねることで良好な治療成績をあげていることで注目を集めました。


オープンダイアローグの誕生

オープンダイアローグはフィンランド生まれで、ラップランド地方にあるケロプダス病院で行われた取り組みで、論文を出したことで注目されました。1984年8月27日、オープンダイアローグが産声を上げました。それは、ケロプダス病院でのある決断がきっかけでした。

「クライアントのことについて、スタッフだけで話すのをやめる。」

というものです。この日を境に治療ミーティングは原則として、クライアントや複数のスタッフで行われました。

オープンダイアローグの3つの側面

  1. 対話実践
    ・協働 ・不確実性に耐える ・対話を目的とする
    ・全ての人の声を聞く ・リフレクティングトーク(内的な思考を伴う話し合い)
    ・オープンな意思決定
  2. サービス提供システム
    ・ニーズ適合&統合的治療 ・チームワーク ・即援助
    ・家族とネットワークの重視 ・柔軟性
  3. 世界観
    ・他者に耳を傾け関わり応答する
    ・現実を共に作り上げる
    ・システムと組織全体に考え方を浸透させる
    ・関係的アンド文脈的なアイデンティティ

2.オープンダイアローグの7つの原則

オープンダイアローグには7つの原則があり、これらは実践と研究をもとに導き出された骨格をなすものとされます。

  • 即時対応(必要に応じただちに対応する)
  • 社会的ネットワークの視点を持つ(クライアント・家族・つながりのある人々をミーティングに招く)
  • 柔軟性&機動性(その時々のニーズに合わせて柔軟に対応する)
  • 責任を持つ(治療チームは必要な支援全体に責任を持って関わる)
  • 心理的連続性(クライアントをよく知っている同じ治療チームが最初から続けて対応する)
  • 不確実性に耐える(答えのない不確かな状況に耐える)
  • 対話主義(対話を続けることを目的とし多様な声に耳を傾ける)

即時対応

初回連絡から24時間以内に治療チームを立ち上げ対応。

症状はクライアントの心(思いや体験)の表れで、これが表現されるのは最初の数日間。

社会的ネットワークの支援を持つ

困難の場面はクライアントを取り巻く人々との関わりの中で起きている。

ミーティングに誰を招くかはクライアントご本人の同意にもとづく。

クライアントと家族に話を別々の場で聞くことはやめる。

クライアントにとって大切なつながりになっている人はなるべくミーティングに招く。

柔軟性&機動性

個別の事情であることに配慮する。

スタッフや機関の都合に合わせたプログラムは使わない。

ニーズがあれば自宅でも、毎日でも、ミーティングを行う。

今ある制度の中で出来る工夫は何でも試す。

新しいサービスを創り出す。

責任を持つ

他機関他部門の支援が必要な時にはミーティングに来てもらう。

クライアントご本人を他機関へたらい回しにしない。

心理的連続性

クライアントや家族、関係者のことを良く知っている人が継続してミーティングに参加する。

さまざまな支援を一つのまとまりとし、相互の効果を高め合うようにする。

異動等があっても、可能な限り誰か一人チームに残り橋渡し役になる。

不確実性に耐える

結論を急がない。

葛藤や意見の違いがあっても、人々の多様な声を理解し合う。

対話を続けるからこそ、クライアントや家族ならではの道が見えてくる。

対話主義

「対話」は手段ではなく「目的」。解決は「対話」の先に見えてくる。

スタッフは対話力を磨き続ける。

3.オープンダイアローグ実践の概要

  • ミーティングは、援助を求める人による最初のコンタクトから24時間以内に行う。
  • ミーティングメンバーを組織化する(本人・本人にとって大切な人・専門職など本人の同意にもとづき)。
  • ミーティングは全ての参加者が輪になり、オープンな意見交換を行う。
  • 対話を促進するリーダーは、ミーティングを開始したメンバーが担う。
  • 参加者全員が何でも発言する権利がある。

4.日本の精神医療は限界!?

日本の精神医療は入院治療と薬物治療が積極的に行われがちで、環境面や社会とのつながりへの意識が弱く軽視されている現実があります。もちろん、本人に寄り添い治療・社会・心理に目を向け、適切な支援を行う医師もいらっしゃるはずですが、病院の収益確保のための入院や、対応困難な患者を薬漬けにするなんてこともあるようです。

日本に溢れる拘束

「拘束」とは入院患者の手足をベッドにくくりつけるなどの身体拘束を指します。厚生労働省が公表した2018年度の精神保健福祉資料によると、身体拘束された人の割合は都道府県では最大20倍ほどの差があり「不要な拘束が行われている可能性がある」と指摘されています。

患者団体からは、「実際には人手不足などを理由に安易に身体拘束が行われ、人権侵害の恐れがある。」と指摘しています。

日本の精神科病院は長期入院が当たり前

日本には、欧米と比較し数十倍も多い精神科病床があります。この溢れる精神科病床に、何十年も患者を入院させることで病院経営が成り立つおかしな構図があるとも言われています。この構図が「本人の意思確認」を置き去りにし、限界を迎えようとしている日本の精神医療に背景ではないでしょうか?

5.「本人不在」ではなく「本人主体」で

オープンダイアローグは、精神疾患を抱えた方々を対象として注目を集めていますが、本人を中心としたケアが大切なのは精神疾患に限定されるものではありません。あらゆる病気を抱えた方、身体が不自由な方、認知症を抱えた方、一人一人が尊重され、「本人不在」ではなく「本人主体」で互いにケアし合える関係づくりが重要であることを、誰もが再認識する必要があるかもしれません。

「私たちぬきに私たちのことを決めないで」

「私たちぬきに私たちのことを決めないで(Nothing About Us Without Us)」とは、障害者権利条約を策定する議論の過程で繰り返し使われたスローガンです。まさに社会が作り出してしまっている障害を感じている方々の「リアルな声」と言えます。1966年に国連で採択された国際人権規約の「すべての人民は自決の権利を有する」にルーツがあると言われています。

「パーソンセンタードケア」

「パーソンセンタードケア」とは、認知症を抱える方々を一人の「人」として尊重し、ご本人の立場になってケアしていく考え方です。イギリスの心理学者であるトムキットウッドさんが提唱したものです。認知症の症状について病気や本人に原因を押し付けることなく、ご本人の生活歴・習慣・趣味・生活環境などの背景に目を向けます。そして「何を必要としているのか?」「生活環境に改善するべき点は無いか?」など、ご本人の心のニーズを理解しケアすることで、症状は緩和され心理的にも安定すると言われています。

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