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日本人へ遺言を残したノーマライゼーションの父「バンクミケルセン」

日本人へ遺言を残したノーマライゼーション

の父「バンクミケルセン」

 

「バンクミケルセン」とは?

バンクミケルセンさんはデンマークの社会運動家で、社会省の行政官として知的障害者の福祉向上に尽力された方です。

ノーマライゼーションの父と呼ばれ、ノーマライゼーションの思想の背景には、知的障害者に対する特別扱い(非人間的な扱い)があり、起源は知的障害者の「親の会」と言われています。

バンクミケルセンの強制収容経験

コペンハーゲン大学法学部に学生として所属していた1940年、ナチスがデンマークに侵入したときにはレジスタンス運動「団結デンマーク」に加わっていた。地下組織の記者となり新聞を発行していましたが、1944年にドイツ国境に近い強制収容所に移送されました。同志であった編集長は銃殺されました。バンクミケルセンさんは終戦により解放され、戦後は社会省に入りました。

当時、デンマークには大型の知的障害者施設は10ヵ所ほどありました。1ヵ所に100人ほどが生活し、集団での食事、集団での作業、集団での就寝が当たり前で、外へ自由に出ることも出来ない生活でした。バンクミケルセンさんは強制収容所の経験から、知的障害者施設の状況に違和感を感じ、知的障害者の「親の会」への活動へとつながりました。

「ノーマライゼーション」って?

「ノーマライゼーション」の発祥

発祥はデンマークです。第二次世界大戦終了後の1950年代、施設において知的障害のある方々が非人間的な扱いを受けていることを知った親たちによる運動から始まりました。行政官であったバンクミケルセンさんによって、「どのような障害があろうと一般の市民と同等の生活と権利が保障されなければならない」という思想を提唱し、1959年にデンマークの法律として成立します。

「ノーマライゼーション」の定義

障害のある人たちに、障害のない人たちと同じ生活条件をつくり出すこと。障害がある人を障害のない人と同じノーマルにすることではなく、人々が普通に生活している条件が障害者に対しノーマルであるようにすること。自分が障害者になったときにして欲しいことをすること。

引用:バンクミケルセン記念財団HP「N.E.バンクミケルセンについて」
※現在こちらのHPは閉鎖されています。

「ノーマライゼーション」の発展

デンマークのバンクミケルセンさんが「ノーマライゼーションの父」と呼ばれているのに対し、「ノーマライゼーションの育ての親」と呼ばれているのがスウェーデンのニィリエさんです。ニィリエさんはノーマライゼーションの8つの原理を提唱し世界中に広めました。この原理は、障害者であっても住居や環境、労働環境、余暇の過ごし方など、日常生活の条件をできる限り障害のない人と同じような条件にすることを目的としています。

  • 1日のノーマルなリズム
    朝目が覚め、顔を洗い、着替え、食事を摂り、学校や仕事へ行く。
    周囲の環境や都合により本人の生活に悪影響を与えずに、自分のペースで生活できる。
  • 1週間のノーマルなリズム
    平日は自宅から学校や仕事に行く。他の時間には趣味や遊びの時間を得られる。
    週末には楽しく過ごすことができる。
  • 1年間のノーマルなリズム
    長期の休みを得られる。季節による集まりや行事を楽しむことができる。
    スポーツや旅行、余暇の活動を楽しむことができる。
  • ライフサイクルにおけるノーマルな発達経験
    発達の段階に応じた、経験・楽しみ・交流・興味を持つことができる。
    責任を負い、思い出を積み重ね、知恵を豊かにすることができる。
  • ノーマルな個人の尊厳と自己決定権
    自由と希望を持つことができ、周囲の人々にも認められ、尊重される。
    大人は自分が望む地域に住み、自分が望む仕事を自分で見つけ決められる。
  • ノーマルな性的関係
    異性との良い関係を築くことができる。
    異性との交際に興味を持ち、恋愛経験を経て結婚を考えることができる。
  • ノーマルな経済水準とそれを得る権利
    誰もが基本的な公的財政援助を受けることができ、そのための責任を負うことができる。
    社会的保障を受け、経済的に安定し、自由に使えるお金があり、必要なものや欲しいものを購入できる。
  • ノーマルな環境形態と水準
    障害があるからといって施設に住む必要はない。
    本人が望む地域の望む家で生活し、地域の人達と交流することができる。

バンクミケルセンの日本人への遺言

「ハンディキャップを負った人々のために、政治や行政官、まわりの人々が何かをしようとするとき一番大切なのは、自分自身がそのような状態に置かれたとき、どう感じ、何をしたいか、それを真剣に考えることでしょう。そうすれば、答えは自ずから導きだせるはずです。」

引用:ゆき.えにしネット 福祉と医療、現場と政策をつなぐHP「優しき挑戦者(海外編)」

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