幸せの国フィンランドのサウナと幸福感
フィンランドは2023年度の世界幸福度ランキング1位でした。フィンランドは常に世界幸福度ランキング上位にランクインする国ですが、サウナ発祥の地としても有名です。
フィンランドの人口約550万人に対し、なんとサウナの数は300万と言われています。この数字の関係から、フィンランドにサウナは必要不可欠と言えるのではないでしょうか?
本ページでは、フィンランドの幸せとサウナの関係や、サウナが幸福感に影響を与える可能性についてまとめてみます。
幸せな国フィンランドとは
フィンランドは北欧の福祉国家です。世界で一番幸せな国とも言われています。また、国土の約75%が森林で、世界最大の群島エリアとヨーロッパ最大の湖沼地帯、そして野生のままの大自然が残るラップランドがあります。首都はヘルシンキでデザインと建築の都市と呼ばれています。紛失した財布がほぼ持ち主の元に戻ってくると言われている、安全な国でもあります。
幸せの国フィンランドの国民の特徴
- 内向的
フィンランド人はしばしば内向的であり、初対面の人とは控えめな態度を取ることが多いです。しかし、彼らと親しくなると、とても温かく友好的な一面が現れます。 - 個人主義
フィンランド人は個人主義的な文化に育ち、自分のプライバシーや独立性を大切にします。また、他人のプライバシーも尊重することが一般的です。 - 正直
フィンランド人は誠実で正直なことで知られており、信頼性が高いとされています。彼らは約束や期限を守り、他人に対しても率直な意見を伝えることが一般的です。 - 自然を愛する
フィンランド人は自然とのつながりを大切にし、森や湖などのアウトドア活動を楽しむことが一般的です。休暇や週末には、家族や友人と自然の中で過ごすことが多いです。 - 静けさを好む
フィンランド人は、静けさや瞑想的な雰囲気を好むことが一般的です。彼らは無駄な話や喧騒を避ける傾向があり、会話の中でも沈黙が許容される文化です。 - ルールを守る
フィンランド人はルールや法律を尊重し、それらを守ることを重要視します。公共の場でのマナーや秩序を守ることが期待されます。 - 公平を理解
フィンランドは福祉的な公平の理解や、ジェンダー平等が進んでいる国の一つです。幸せの国とされるフィンランドでは、福祉や公平・平等の理解が進んでいることが背景にあるかもしれません。
フィンランドの社会と文化
男女平等の文化
フィンランドは女性に完全参政権を付与した世界最初の国であり、男女共同参画の先進国とされています。
世界経済フォーラム(WEF)が2016 年に発表した男女平等指数のランキングでは、144カ国中第2位に輝いています(日本は111位)。
出産後の女性でも働ける環境が整っているため、女性のほとんどがフルタイムで働いています。
キャンドル消費量が世界一
北欧の国々はキャンドルを良く使うことで知られていますが、中でも一人当たりのキャンドル消費量が世界一多いのがフィンランドです。
夜が長い北欧の冬は、色も形も様々なデザインのキャンドルを灯して楽しむのが昔からの生活スタイルなのです。
フィンランドの恵まれた自然
意外に温かく大きい温度差
フィンランドは国土の約1/3が北極圏にあります。アイスランドに次ぐ世界でも北にある国のため、冬(11~3月)は非常に寒い時期が続きます。
それでも、北欧のイメージからすれば意外と温かく、同緯度の他の国と比べると平均で6~10度近く気温が高くなります。
しかし、冬で摂氏20度以下、夏は30度に達することがあり、年間で80度以上も温度差があるため、長期滞在する場合には体調管理に注意する必要があります。
沈まぬ太陽
フィンランドでは夏になると1ヵ月以上も白夜が続きます。夜でも昼と同じ位の明るさが続きます。
夜の太陽が最も明るくなるのは6月と7月です。最北部では5月から8月にかけて、太陽が沈まない日が70日以上も続きます。
昼にしかできないことが夜にもできるメリットがあり、夜中にアウトドアやスポーツなどを楽しむことができます。
夜の太陽は日の出と日の入りの際に見られるような赤みを帯びた黄色になるため、周囲を温かみのある明るい色に包んでくれます。
幻想的なオーロラ
フィンランドは世界有数のオーロラ観賞スポットです。白夜の夏が過ぎて冬がやってくると、幻想的な光が空を舞います。
オーロラが見られる可能性は北へ行く程高く、最北部のラップランドでは年に200夜も出現。
暗闇と空が澄んでいることが観賞条件となるため、できるだけ明るい場所や建物からは離れましょう。観賞時期は9月から3月頃、時間帯は真夜中前後2時間程度です。
突然現れたり消えたりしますが、いったん出現すると短くても20秒、長ければ数時間続きます。丘の上や湖畔が絶好の観賞ポイントです。
フィンランドのサウナ
サウナ発祥の国でもあるフィンランドのサウナは日本のサウナとは少し違うようです。フィンランドのサウナの特徴や、フィンランドのサウナの楽しみ方とはどのようなものでしょうか。
フィンランドサウナの特徴
フィンランドの冬は長く寒さもとても厳しいです。北欧の気候条件の中、冷えた体を温めて疲労を解消させようと登場したのが、フィンランド式サウナです。家にサウナがあるというお宅も少なくありません。
日本式サウナは高温低湿のドライサウナが多いですが、フィンランド式サウナは低温多湿のウェットサウナが主流です。熱すぎないので時間をかけながら、低温で体の芯からじっくりと体を温められます。
長い時間入っていることが可能なフィンランドサウナは、良きコミュニケーションの場にもなり、より良い人間関係が幸せの国と言われる一つの要素にもなっているかもしれません。
フィンランドサウナの種類
①スモークサウナ
煙突のないストーブで何時間もかけて木材を燃やして温度を上げるサウナです。
温まった後に煙を逃がしてサウナ浴をします。薪の香を楽しめるフィンランドの伝統的なサウナです。
②ロウリュサウナ
熱々のサウナストーンに水をかけてスチームを発生させる「ロウリュ」を楽しむサウナです。
スチームを浴びることで体感温度が上がり、発汗作用が高まるといわれています。
ロウリュで発生させたスチームを店員がタオルで仰ぐ光景は日本でも馴染みがあると思います。
③アイスサウナ
ブロック型の氷で作った、かまくらのような小屋の中でサウナを楽しむ冬限定のサウナです。
氷で囲まれているため温度が高くなり過ぎないのも特徴です。
極寒の地フィンランドならではのサウナです。
フィンランドのサウナの入り方
- シャワーを浴びて体や髪を清潔にする。
- 裸または水着でサウナ室に入る。
- 時間は決めず、ゆったりとスチームやスモークを浴びる。
- 体が十分温まったら、シャワーで汗を流し、外気浴で休憩する。
- ①~④を繰り返す。
フィンランド式サウナの入り方は、日本式サウナとほとんど同じですが、サウナを出た後に必ず水風呂に入るわけではありません。日本では時間を決めて入ることが多いですが、フィンランドではその日の体調や気分に合わせて楽しむため、時間を気にすることはないと言われ、サウナの中に時計がないことも多いようです。
フィンランドサウナと幸福感
サウナは古来フィンランド人の健康を助けてきた重要な存在とされ、精神面への影響も絶大と考えられています。サウナ発祥の地でもありながら、「幸せな国」として注目されているフィンランド。サウナと幸福感のつながりは否定できないものと思います。
サウナだからオープンになる
フィンランド人のある女性はこう言ったそうです。
「サウナはコミュニケーションの場所。家族や仲の良い友人と一緒に行って、オープンに深い話をすることが多い。心を落ち着かせたり、心を開いたり、心身ともにリラックスするためにサウナは重要な場所。」
人はコミュニティの中にいる人の方が幸福感を感じるという研究報告があります。サウナは「丸裸になって語り合う」絶好の場所であり、人との繋がりを実感できる貴重な空間です。心身のリフレッシュが幸福感を上げているのでしょうか。
サウナは清らかな場所
フィンランド人にとってサウナはとても清らかな場所です。
フィンランドには「サウナデー」がありますが、過去5年間の「サウナデー」に、犯罪や問題が起きたことはないと言うほどです。
古来は、出産や手術、ご遺体の洗体もサウナ室で行われていました。また、サウナの中では性別や身分、宗教などすべての肩書から解放されて全ての人が等しく心地よく過ごす、という究極の平等思想がしっかりと継承されています。
人と人とが認め合える、互いに尊重し合うというフィンランド人の寛容さが幸福度に影響しているかもしれません。