『フクシとつながる、フクシでつながる。』・・・フクシを知って、ちょっとフクシを実践する、そんなユル〜クやってくフクシのサイト「フクシる」です。

エンパワメント理論・アプローチ

エンパワメント理論・アプローチ

エンパワメントとは、加齢や病気、障害などにより偏見・差別・抑圧などにより、自分らしく生きる力を発揮出来ない状態(パワーレス)から、生きる力を発揮出来る状態に戻していくことです。

エンパワメントは、主に個人、対人、組織、社会へと広がり展開されるものです。

エンパワメントの概念

エンパワメントの成り立ち

ソーシャルワークの分野で初めてエンパワメントの概念を述べたのはソロモンです。

クライエントの課題が病気や障害と考え、それを専門家が助けるという医学モデルでは、地域の問題には対処しきれないと考えました。抑圧された人々が主体となり、自らの力を発揮できる状態に回復することが重要としています。

パワー・パワーレス・ストラングスの視点

パワーとは「個人」から「対人」、「組織」、さらに「社会」へと広がる領域における能力とされている。

  • 「個人」・・・自分の価値を尊重し、表現する能力。
  • 「対人・組織」・・・自分に必要なものを得る能力。人々と協働する能力。
  • 「社会」・・・社会のシステムや資源と関わり、社会に影響を与える能力。

これらの力を発揮出来ない状態がパワーレスな状態とされる。

川村隆彦.2011.ソーシャルワーカーの力量を高める理論・アプローチを参考に作成

パワーレス状態は悪循環に

社会的な課題により、抑圧や阻害などの問題が生じると、社会資源やさまざまな機会の不平等によりパワーレス状態になります。さらに個人と社会の交互作用により、さらにパワーレス状態へと陥ってしまいます。

聴覚障害が生じた場合、各領域において下記のような能力への影響が考えれます。

  • 「個人」・・・コミュニケーション能力への影響。
  • 「組織」・・・自分に必要なものを求める能力への影響。
  • 「社会」・・・生活や仕事をしていくうえでの不利益を補う能力への影響。

これらが原因で否定的影響が個人に内面化されると、自己嫌悪や諦めなどを引き起こし、さらに能力を奪うという悪循環を起こします。

ストレングスに焦点を当てる

エンパワメントの理論・アプローチは、困難な状況でも誰もが強さや可能性を持っていて、その可能性を高めることができると捉えます。その人が持つ目標・強さ・才能・力・熱意などに焦点を当てて探り、それらを強化しようとします。

ストレングスへ焦点を当てることがとても重要とされています。

4つの領域への支援

エンパワメント理論・アプローチには4つの領域における支援プロセスが生じると考えられます。

力を発揮出来ない(パワーレス)状態にある場合、「個人」・「対人」・「組織」・「社会」へと広げて支援を進めていくことになりますが、必ずしも「社会」の次元まで支援が広がっていくわけではありません。状況によっては、「対人」または「組織」の段階で支援プロセスが完結する場合もかんがえられます。

「個人」領域の支援

ここでのテーマは「自己信頼」。

クライエントが自分と向き合い、「自分は価値ある存在。信頼できる存在。」だという気持ち(自尊感情)を感じられるように支援する段階とされます。

支援する際には、クライエントを十分に理解することを重点とし、傾聴・受容・共感などの技法を用いて、クライエントの生きづらさや感じている抑圧、心の重荷を受け止め理解します。

このような支援を進めることで、自分自身を前向きに捉える力を取り戻し、自分らしい生活を目指すパワーをもつことが出来る。

「対人」領域の支援

ここでのテーマは「相互支援」。

他者との安心感ある相互支援の経験により、仲間意識をもてるように支援する段階です。

同じ悩みや課題を抱えた人たちでグループを組み、出会いや語り合いによる共有・主張・助け合いの機会を創ります。

「組織」領域の支援

ここでのテーマは「権利の発見と主張」。

自分の周囲の環境や組織との関係を考えます。その中で弱められたり、侵害されている自分の権利に気付き主張する力を得られるように支援します。

「社会」領域の支援

ここでのテーマは「社会への働きかけ」。

クライエントや地域住民の意識や考えを、政治・制度・自治体の政策などへ向けて発信し、新しい社会資源を作り出す活動へ参加する機会を創ります。クライエントが主体的に活動できるように、必要な知識や技術を強化することも目指します。

実践へのまとめ

人々が力を発揮出来ない(パワーレス)状態に陥る原因は様々です。

それらの原因は、社会構造が生み出す人々の生きづらさそのものと言えます。これら多くの問題にはエンパワメントアプローチが適用可能とされます。

「エンパワメント」という言葉は、様々な資格取得や研修の機会に耳にすると思いますが、単純に「能力や権限を与える」のではありません。「個人」・「対人」・「環境」・「社会」の4つの領域への展開させていく視点が重要とされています。

参考文献:川村隆彦.2011.ソーシャルワーカーの力量を高める理論

 

最新情報をチェックしよう!
>フクシとつながる、フクシでつながる。fukushill.com

フクシとつながる、フクシでつながる。fukushill.com

CTR IMG