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教えてくれない「福祉」って何!?

教えてくれない「福祉」って何!?

みなさんは「福祉」について誰か詳しく教えてくれたという思い出はありますか?

『フクシる』まで辿り着いて頂きありがとうございます。デンマーク・スウェーデン・ノルウェーの北欧研修に参加するまで、「福祉」について詳しく教えてもらうことがなかった『フクシる』コーディネーターのナオキです。

介護の入門資格である「介護職員初任者研修」でさえ、「福祉」という言葉をまともに学ぶ機会も無かったように思います。国や介護業界は、「福祉」という根本的な部分の教育はそこまで必要と考えていないことの表れでしょうか?介護福祉の仕事に無資格で入った私個人の、勝手な印象です。

本題に入りますが、今回は「福祉」という言葉を切ったり・変換したり・分解してみましょう!「福祉」というものを色々な角度から見ていきたいと思います。

一般的な「福祉」とは?

「福祉」という言葉が世の中でどのように説明されているのかをいくつか調べてみたいと思います。

①ネット辞書を見る

検索した印象では、「幸せ」や「安心感」や「ゆたかさ」は共通しています。また、「公的」や「最低限」の言葉から「限定的」な印象が共通してあります。スッキリとまとめられている反面、「福祉」の本当の意味がこれで良いのかは疑問が残りますね。

公的な配慮・サービスによって社会の成員が等しく受けることができる充足や安心幸福な生活環境を公的扶助によって作り出そうとすること。

(weblio辞書より)

 

福祉(ふくし、英:welfare)は、「しあわせ」や「ゆたかさ」を意味する言葉であり、すべての市民に最低限の幸福と社会的援助を提供するという理念を表す。

(フリー百科事典『ウィキペディア』より)

②マジメなテキストを見る

これは社会福祉主事任用資格のテキストに記載されているものです。第二次世界大戦後に出てくる「福祉」という言葉は次の形で登場しています。「福祉」は国が努力し向上・増進しなければならないと明記されています。

日本国憲法第25条 すべての国民は、健康文化的最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び、増進に努めなければならない。

(社会福祉学習双書より)

同テキストには、「昭和25年勧告」についても記載されていますので紹介したいと思います。勧告では社会福祉について以下のような定義を置いています。ここでも社会福祉の対象は限定されています。ただし、その後の補足説明では社会福祉を明らかにしたものではないことに加え、時代背景の言葉まで加えています。「福祉」は時代背景や状況に応じて定義が変化する意味が含まれているようにも思えます。

個人的には、「指導」や「補導」などの言葉も好きではありませんが、これも福祉の歴史ということで・・・。

社会福祉とは、国家扶助の適用を受けている者身体障害者児童その他援護育成を要する者が、自立してその能力を発揮できるよう、必要な生活指導、更生補導その他の援護育成を行うことをいうのである。

しなしながら、必ずしもまだ社会福祉とは何かを具体的に明らかにしているものとはいえない

その理由は・・・・・・社会経済の状況、すなわち国民生活の窮乏化や戦争によって増大した浮浪児や障害者などへの対応をまず緊急に進めなければならないという時代的な制約を背景にしていたからである。

(社会福祉学習双書より)

「福」と「祉」

「福祉」の言葉の2つの漢字。「福」はなんとなくイメージしやすい漢字ではありますが、「祉」という漢字についてはイメージもしにくいですし、「福祉」意外の言葉ではなかなか使わない漢字のようにも思えます。

ちなみに、どちらの漢字にも共通している「しめすへん」は「神様へのお供えを上げる台」の象形文字のようです。

①「福」って?

  • 音読み:フク
  • 訓読み:さいわ(い)
  • 意 味:さいわい(を与える)。しあわせ(を与える)。祭りの際、神に供える酒や肉。

②「祉」って?

  • 音読み:シ
  • 訓読み:さいわ(い)
  • 意 味:さいわい。めぐみ。しあわせ。神より授かる幸福。
幸せ。恵み。神様との「差し上げる」&「頂く」の相互関係。

「福祉」の英語

「福」と「祉」に解体して、なんとな〜く漢字の意味をイメージできたところで、2つの漢字をまた合体させて、英語に変換してまた分解してみたいと思います。福祉を英語にするとwelfare(ウェルフェア)になります。少し前からはwellbeing(ウェルビーイング)という言葉も耳にします。

①welfare(ウェルフェア)を分解

「福祉」を指す英語のwelfareは2つの言葉がくっついた造語です。2つの言葉の意味から考えると「より良く生きる」ですね。

始めに整理した日本の一般的な「福祉」の意味とは異なり、制度や対象者などの限定的な意味は含まれていません

誰もがより良く生きる意味として、とても広く人によって答えは異なるこもなのかもしれません。

welfare = well(よく・十分に) + fare(生きる・暮らす)



②wellbeingという言葉

「福祉」=「welfare」が一般的でしたが、人それぞれの幸せを「wellbeing」という考え方で捉えるべきとの主張がみられるようになりました。「wellbeing」の考え方も「幸せに生きる」・「より良く生きる」の意味とされ、「welfare」ととっても似ているのですが下のように言葉を整理できそうです。

  • 「welfare」・・・「幸せに生きる」「より良く生きる」ための制度や方法。
    目的を達成するための手段
  • 「wellbeing」・・・「幸せに生きる」「より良く生きる」という目的そのもの

 

デンマークに学ぶ「福祉」

2015年のことでした。私はデンマーク・ノルウェー・スウェーデンへの北欧福祉研修に参加させて頂きました。初の海外経験であり、さらに福祉職歴たったの数年だった私としては、「こんな世界があるのか!」と驚きばかりでした。日本とは大きく異なる福祉観。日本のように寝たきりの高齢者が居ないゆったりとした高齢者住宅。福祉国家と呼ばれるデンマークで触れた福祉についてまとめてみます。

福祉国家とは?

福祉国家 = 幸せな国。

幸せな国 = 生活がしやすい。住みやすい。 = 住みよい国

・差別が無い  ・平等  ・自由が保障されている  ・貧困が無い
・好きな仕事に就ける   ・障がい者や高齢者の生活保障
・教育が受けられる  ・食べ物に困らない  ・医療を受けられる

福祉国家になった一つの要因

デンマークの哲学者キルケゴールは、単独者の主体性こそ真理と説く個人主義、実存主義を唱えました。キルケゴールの思想もデンマークが社会福祉国家になった一つの要因と言えるでしょう。社会と個人は相反するもののように思われますが、「個人を大切にすることが、個人の集まりで構成されている社会を大切にすることにつながる。」のです。ならば当然のことながら、個人が住みよい社会であり、それが集まってできている国は、住みよい国といえるでしょう。
世界一幸福な国デンマークの暮らし方(千葉忠夫さん)より

福祉は自由・平等・連帯・共生

  • 自由
    自由とは、何をやっても良い自由奔放とは違います。自由には必ず責任があります。
    自分が自由に行動することには必ず社会のルールと責任がともないます。
  • 平等
    デンマークでの平等は、厳密に言うと公平の方が好ましい言葉とされています。
    簡単に説明すると、平等は誰もが同じまたは均等にと考えますが、公平は必要な人に必要分をと考えます。
    この考えはジョンロールズさんの「正義論」でも述べられています。
    ここでの公平が国民が連帯するという民意につながっていると言われています。
  • 連帯
    日本では良く多職種連携みたいに連携という言葉を良く耳にします。
    デンマークでは連携ではなく連帯することが重要とされています。
    連携は強力して物事を行うこと。連帯は共通の利益に対し責任が生じるより強固なつながりです。
  • 共生
    共生とは一般的に互いに作用し合う状態で生活する等の意味になります。
    デンマークでの共生は、一言で言うと「思いやりです」。さらに言うと「お互いに尊重しあうこと」。

相手の立場を理解する、もし自分が相手の立場だったならばどんなふうに処遇してもらいたいかを問えば「思いやり」は自ずと答えとなって出てくるはずです。

世界一幸福な国デンマークの暮らし方(千葉忠夫さん)より

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