認知症ケアとオレンジ色
「認知症ケアとオレンジ色は何の関係があるんだろう?」このように疑問に思ったことはありませんか?
認知症の方のケアでは、色々な場面でオレンジ色を見たり聞いたりすることがあると思います。認知症サポーターキャラバンのマスコットキャラクターも、オレンジ色をしたロバ隊長です。本記事では認知症ケアと、オレンジ色の関係についてまとめてみました。
認知症サポーターとオレンジリング
認知症サポーターって?
認知症サポーターとは、認知症について理解し、認知症の人や家族を温かく見守る人です 。90分間の養成講座を受けると認知症サポーターになることができます。 認知症サポーターは、友人や家族に正しい知識を伝えたり、認知症になった人や家族の気 持ちを理解するよう努めます。また地域で共に生活している者としてできる範囲で何気な い手助けをするなど様々です。各自で無理なく認知症の方をケアします。
オレンジリングって?
認知症の方を支援するという目印のリストバンドです。 認知症サポーター養成講座を受けると、認知症サポーター証とオレンジリングをもらうこ とができます。
ロバ隊長
ロバ隊長は、認知症サポーターキャラバンのマスコットキャラクターです。 認知症サポーターキャラバンの隊長として、認知症になっても安心して暮らせるまちづく りへの道のりの先頭を歩いています。ロバのように急がず、しかし一歩一歩着実に進んで いきます。
引用:キャラバンメイト養成研修テキスト
「新オレンジプラン」って?
日本の高齢化に伴い、認知症への対策の必要性も高まっています。日本で立てられた認知症対策の計画名にも「オレンジ」が使われています。
新オレンジプランとは
認知症の人の意思が尊重され、出来る限り住み慣れた地域の良い環境で自分らしく暮らし続けることが出来る社会を実現するを目的に、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて策定されたものです。正式には認知症施策推進総合戦略といいます。
認知症の人は2025年には約700万人まで増えると言われており、環境整備は重要なポイントになります。認知症高齢者にやさしい地域づくりに向けて、認知症という病気に対する啓蒙も含め、医療・介護・介護予防・住まい・生活支援を包括的にケアするための計画です。
新オレンジプランの柱
- 認知症への理解を深める為の普及・啓発の推進
- 認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
- 若年性認知症施策の強化
- 認知症の人の介護者への支援
- 認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
- 認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーション、介護モデルなどの研究開発及びその成果の普及の推進
- 認知症の人やその家族の視点の重視
引用:厚生労働省「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(概要)」
世界アルツハイマーデー及び月間
1994年「国際アルツハイマー病協会」は、世界保健機関(WHO)と共同で毎年9月21日を 「世界アルツハイマーデー」と制定し、この日を中心に認知症の啓蒙を実施しています。 また、9月を「世界アルツハイマー月間」と定め、様々な取り組みを行っています。日本でも公益社団法人「認知症の人と家族の会」がポスターやリーフレットを作成し、認知症への理解を呼びかけるなどの活動を行っています。
なぜ9月21日なの?
1994年9月21日、スコットランドのエジンバラで第10回国際アルツハイマー病協会国際会議が開催されました。会議の初日であるこの日を「世界アルツハイマーデー」と宣言し、 アルツハイマー病等に関する認識を高め、世界の患者と家族に援助と希望をもたらす事を目的としました。
シンボルカラーは「オレンジ色」
認知症支援・普及啓発活動のシンボルカラーはもちろん「オレンジ色」です。 9月21日の世界アルツハイマーデーには、日本各地でオレンジカラーのライトアップ等の取り組みが行われています。
認知症ケアのシンボルカラーオレンジ色のワケ
ルーツは江戸時代!?
江戸時代の陶工・酒井田柿右衛門(酒井田喜三右衛門)は、夕日に映える柿の色にインスピレーションを得て赤絵の磁器(柿右衛門様式)をつくり上げました。この磁器は海外に輸出されヨーロッパでは18〜19世紀に人気を誇りました。この柿右衛門の柿色のように「 世界で認められるように」と願いを込め認知症サポーター養成講座の修了の証にラバー バンドにオレンジ色が採用されたと言われています。
徐々に定着したオレンジ色
日本ではまず「認知症サポーター養成講座(2005年〜)」の修了者に交付される証(ラバ ーバンド)の色にオレンジ色が採用されたそうです。 これ以降、もの忘れ・認知症相談医を「オレンジドクター(2010年〜)」、厚生労働省の 認知症高齢者の施策を「オレンジプラン(2012年〜)」、近隣の認知症サポーターがチー ムを組んで認知症の方を支援する取り組みを「チームオレンジ(2019年〜)」等と呼ぶようになっていきました。このようにして、認知症サポーターのバンドの色から始まり、次第に認知症のシンボルカラーとして定着していったと言われています。